l'essentiel est invisible pour les yeux

Saturday, July 28, 2007

World Wide Living とHardware Mashupの世界

こんな世界を想像してほしい。

自宅のリビングにあるテレビが「FULL HDのディスプレイを持ち、5.1chサラウンドシステムのスピーカーに接続され、外部のネットワークに接続しておりWWWにアクセス可能である。」とブロードキャストする。5.1chサラウンドシステムのスピーカーは、「各スピーカの場所と映画やスポーツの再生に特化している」とブロードキャストする。デジタルカメラは、「700万画素のカメラを持ち、高速で精度の高い顔検出機能を持つ」とブロードキャストする。炊飯器は、「本炭釜を持ち、低機能な液晶ディスプレイを持っている。」とブロードキャストする。自宅の自慢のスピーカーは「フルレンジスピーカーであり、低音から高音まで豊かな再生が可能で、特にJazzやClassicの再生に優れている」とブロードキャストする。


私は全ての機器がブロードキャストし急速に発展する無線技術によってプライベートなネットワークに接続すべきだと考える。ネットワークに参加する事によりネットワーク内に存在するハードウェアが持つ機能レベルでのマッシュアップが可能になる。その次にはハードウェアとハードウェアのマッシュアップが存在するかもしれない。そしてこれは自宅のネットワークに限った事ではないと思う。人間自身、そしてその人間が身につけるガジェットがオンデマンドにネットワークに参加する事で、そのネットワークが提供するサービスを楽しむ事ができる。

WWL(World Wide Living)はLivingが外出先から楽しめるだけでなく、どこにいっても自分のLivingのように自分のためのサービスを受けれる。そんな気持ちを込めている。

デジタルカメラで撮影した画像がテレビでスライドショーで見れるデモをよく見かける。一昔前〜現在は、SDカードなどの外部記憶装置を介してデータのやり取りを行ったが、DLNAではこれらのデータや機能はデバイスが自動的に発見して再生する事ができる。

DLNAが完全に標準となっているわけでもない。Intelが進めるViiVや仕様の策定が遅いからと各ベンダーが独自実装を進めるような流れも見られる。また、PS3のDLNA Client機能とWindows Media Player 11に搭載されているDLNAを使用してスライドショーを実践してみたが、XMBのPhotoの下にまたPhoto, Movie, MusicとありPhotoから遷移した場合は、Photo以外のメニュー(Movie, Music)を選んでも何も表示されない事や、Windows側の設定がふつうの人に取ってはまだまだ難しいなど洗練されていない。(これはDLNAの仕様を忠実に画面上に表示しているだけだと思われる。)

携帯電話やPDAの世界ではオープンな規格やソフトウェアを取り込もうという流れが盛んである。LiMo Foundation, Betavine, Qtopia, OpenMokoなどが主である。

家電の世界ではまだまだメーカーの独自規格が多い。
また国内で言えば革新的な技術を持っていても、SONYなどの大メーカーは採用する事はまず無いだろう。しかし、メーカーの独自規格が乱立する世界からオープンで開かれた世界に切り崩していかなければならない。なぜならば、チップの小型化や省電力化、無線技術の急速な発展といったテクノロジーの発展をどう人々のライフスタイルに結びつけるかが重要になるからだ。技術中心のアプローチではなく、技術と人々の生活を深くした上で経験デザインが行われる必要がある。これらは必ずしもメーカーだけが得意な事ではない。豊かな創造力と高い技術力を持つ人達が切り込んでいかなければならない。

もっとも、私は楽観主義者であるし困難な側面を考えるよりは、何からできるかを考える方が好きだ。

豊かなライフスタイルや技術革新を想像するだけなら簡単である。どのようにインプリメンテーションするかが最も重要だ。これからますます、高い技術力と共に技術をイノベーションに結びつけるテクノロジストとしての才能が問われる。幸いな事にテクノロジストとしての才能は、人の何倍も知的好奇心を持ち努力し続けることで身につけることができる。そして、イノベーションは自分が深い知識を持つ分野と全く違う分野のキスで起こる可能性を秘めている。

最近、MADE IN JAPANと盛田昭夫語録を読んだ。
当時最高の研究所であったAT&Tのベル研究所ですら開発をあきらめていた高周波数で動作するトランジスタの開発、テープレコーダーの開発、そして既存の技術を組み合わせて音楽を聞くという行為を再発明したウォークマン。近頃は技術が成熟したことで技術のメインストリームが見えにくくなっているという話を聞くが、それは自分の目が節穴なだけだ。人間は技術的困難に挑戦する事を未来栄光欲するだろうし、それを乗り越えた時の喜びはひとしおである。

私は一般家庭からPCという物はなくなると思っている。
WWWはなくならないが、PC中のブラウザを立ち上げてインターネットを楽しむなど笑い話になる日がくるだろう。電気や水道のように、先進的なチップによる3D表示やマルチタッチパネルなど実世界インタフェースがすごい勢いで取り込まれることで情報技術は日常生活に浸透したものとなるだろう。

アイデア一つ、面白いWEBアプリケーションを作ってPVを集める事などイノベーションでも何でも無い。それなら個人でやればいい。MADE IN JAPANを読めば、時代を切り開いた実業家でありテクノロジスト Mr. Akio Moritaの哲学に触れる事ができる。世界中にSONYブランドを根付かせた盛田氏の哲学には深く感動した。



Saturday, July 14, 2007

計算機と右脳をつなぐ脳梁のイノベーションでクオリアの入力を可能に

UIEJには毎日35分かけて徒歩で通勤しているが、好きな音楽を聞きながらCoolなモノへの想像を膨らませるのが通勤途中の楽しみの一つだ。読んだ本の影響もあり、最近は脳に関する想像が多い。

私は脳神経科学についての知識は皆無だし、認知心理学についてもあまり理解していないが最近読んだいくつかの本から考えた事をまとめてみようと思う。あくまで妄想。

1950年代には既にJohn von Neumannが提唱していたニューラルネットワーク。50年前とは比較にならないぐらい技術が進歩した今でも難しい事が多いが様々なアプローチで真剣に進めていく価値はある。(脳をエミューレトするのではなく計算機と人間間の差を減らすとか)


左脳(== 計算機)と脳(右脳)をつなぐ脳梁(ヒューマンユーザーインタフェース)にイノベーションが求められる。
今、私が最も関心を持っているテーマがこれである。
様々な技術革新が行われ計算機のハードウェアは急速に進歩した。ウォークマン•iPodといったウェアラブルコンピューターの息吹も見られる。しかしインターネットへの入り口はブラウザがほとんどだし、入力でバイスは文字を入力する事で”やりたい事”を実現する物がほとんどである。

Wiiリモコン, DoCoMo 904シリーズ, iPhone, Surfaceのように実世界インタフェースを取り組む動きが盛んだ。iPhoneでは二指を広げると拡大、狭めると縮小という単純な動作に徹している。パターンを増やすとユーザーは混乱するので徹底したシンプルさ(例えば、Webkitから二指のイベントを扱う事はできない)は素晴らしいと思う。

10年後には"レゴのようなモノ"でマイホームの設計からデザインを顧客自身が行うようになるかもしれない。デザインやパターンはインターネットでダウンロードして利用できる。レゴの表面はダウンロードしたデータ中で指定された色に基づき発光する。そしてその模型をまたデータ化して不動産業者に送信し工事が始まる。

しかし、実世界インタフェースを取り込む入力デバイスの実用化にはまだまだイノベーションが必要だ。Newral Interfaceのようなインプラントで脳内にチップとトランスポーターを埋め込む話は大変面白いが、私はDARPAの研究者ではないし現在の興味深い技術をとっても簡単に利用できる製品を作りたい。2050年頃に臨床実験が可能になるかもしれない話では駄目である。

つまむ, ひっぱる, 興奮する, 落ち着く, 騒がしい, 静かだ, いい香りだ, など様々な実世界の概念が入力されて利用できるように入力デバイスのイノベーション(技術革新)が求められる。

そしてそれと同じぐらい大事なのが、左脳(計算機)が右脳の直感やアフォーダンスを予測しシミュレートすることである。東京大学の五十嵐健夫氏の研究デモは計算機が人間のアフォーダンスを予測し、人間にとっては当たり前の事だが計算機に取っては当たり前でない事をデータ化する試みだ。

http://130.158.75.1:443/esper2007/igarashi.wmv

つまり、クオリアをデータとして取り込みたいのである。


計算機と脳を含めた並列コンピューティング。
近い将来誰でもサヴァンになれる日がくるかもしれない。

計算機と人間は明らかに思考ロジックが異なる。物事を部分ではなく全体で捉えるのが得意な脳に対して、計算機は0と1という単純な2値の膨大な組み合わせで全体を精確な部分で構成する事に長けている。

近年世界最強のチェス専用スーパーコンピューターであるディープ・ブルーが人類を打ち負かした話は有名であるが、駒の動きを複雑化させたアリアマというボードゲームでは計算量が膨大になるため(まだしばらくは)人類が有利だと言われている。興味深いのは駒の動きの複雑度が増すにつれて、指数関数的に計算量が増大する計算機とは異なり人間はそのような事が無い。

私は次のように考える。
計算や記憶など計算機が得意とする領域は、脳の外部に置かれることになる。そして人間の想像力を司ると言われる右脳がデータを要求した時に、「いつ」「どこでも」「好きな時に」外部に蓄積されたデータを取り出したり、必要に応じて加工できるようになる。その際に問題となるのは最初に書いた計算機 == 左脳と右脳をつなぐ脳梁(==Human User Interface)での情報損失である。

実際にNational Science Foundation(アメリカ科学財団)は、世界の全人口の記憶の総量は1千2百ペタバイトであり、脳の外部に蓄積されている情報を合わせると1万2千ペタバイトになると結論づける。(※1) 外部に蓄積される情報量はますます増えると容易に予測できる。

脳を含めた巨大で膨大な並列ネットワークを個人が手に入れようとしている。しかしそれには計算機と脳をつなぐHuman User Interfaceのイノベーションが必要である。Human User Interface(脳梁)でデータの損失、つまり思った通りのデータがCRUDできないとかあり得ないのだ。

コンピューター関連テクノロジーの発展が人類の左脳の進化に影響を与える。
コンピューターの登場により数学界における問題解決のアプローチは大きく変わった。何百年という期間の間証明できなかった問題に対して、スーパーコンピューターの力を利用するごりおしの力技があらわれたからだ。ケプラー予想が有名である。この傾向を危惧する数学者も少なくない。

直感や意識など高次の抽象的な感覚がイノベーションにより登場した入力デバイスから計算機にINPUTできるようになれば、データ処理は計算機が行い人は感覚的な高次の概念を左脳(計算機)に入力する事に徹する事になる。人間はそれを意識する必要も無いし、人類の進化という長い時間軸で考えるならコンピューターの発展はホモサピエンスの左脳を萎縮させるのではないだろうか?


「1は背が高くてとっても光り輝いている」「4は内気でもの静か」と数字に色だけでなく様々な共感覚を持つダニエルのヒューマンドキュメンタリー「ブレインマン」をとても見たくなった。


CHANGELOG
*2007/07/15 右脳と左脳をつなぐ組織は脳幹ではなく、脳梁だったので修正。


参考文献


1. How Much Information? 2003
2. ぼくには数字が風景に見える, ダニエル•タメット 訳 古屋美登里
3. 超人類へ! バイオとサイボーグ技術がひらく衝撃の近未来社会




脳内晒し

流行っているかどうかは知らないが、脳内メーカー晒し。



現状に満足する事は退屈だし、ダサイし、大嫌い(一般論ではなく私の中のドグマにおいて)だが、一体どれだけ欲求不満なんだ。でも技術の発展は目覚ましいのに、インターネットは未だにブラウザで利用するものだし、人間と計算機間のインタフェースはキーボードが主流だし、WiTricityの研究はまだ始まったばかりだし、本当に欲求不満だらけだ。

負というのが気に食わないが、これは正数に対する負の数の事にしておこう。
だって、unsigned型だけではプログラム書けないし。

これを見るととても強欲に見えるが「30歳で1500万貰って高級車乗り回して、毎日夜遊びして酒飲んで、40歳でアーリーリタイア」なんて私欲をわずかに肥やすプランはほとんど考えた事がないし、そんな物は本当に退屈なプランだ。(好きで楽しくてたまらない事をやってるのになぜリタイアなのか理解できない。)

で、食欲は"食"というマークがあったし、性欲は"H"だろう。金銭欲は"金"があった。ではこの欲は一体何なのだ?まじめに考えるに値しないテーマかもしれないがとても気になる。

お金に関して言えば、例えば、「実世界インタフェースをどう計算機に取り入れられるか」に関して興味があるのでSurfaceを買ってHackしたいと思った時に買えるだけあればいいし、iPhoneを買って分解してぶっ壊してしまってももう一台買えるぐらいあればいい。東大の五十嵐先生が行われている、実世界の思考やアフォーダンスを計算機がシミューレトしてくれるような大変興味深い研究を実装したデバイスのプロトタイプを開発するぐらいの資金があればいい。$10Bぐらいあれば十分だ。(言ってる事が支離滅裂に聞こえるかもしれないが、正直な所金銭欲なんてそんな程度のアバウトさだ。)

ちなみにUIEJの仲間の人の頭の中はこんなだった。
http://naotake.fs-output.com/2007/07/ver.html


> 誰か説明できる人いる?
だって「中学生の思春期のまっただ中で頭の発育が停止」してますよ。
(理解していると思いますけど、私なりの賛辞なので怒らないでください)

下記の本はMicrosoftのInternetExplolerやOutlookの開発者による近未来のバイオテクノロジーやNeural Interfaceに関する本で大変面白い。SFチックなタイトルだが、本の内容はDARPAによる最新の研究事項や実例を示しながら書かれているとても真面目な本である。

人間の飽くなき向上心はとどまる事を知らないし人類は進化する方向を自分達でコントロールできる所まで進化したのだ。遠い将来、現在のホモサピエンスをルートとして多くの派生種が生まれる事は間違いない。読むだけで何とも楽しくなり、想像力をかき立てる本である。