l'essentiel est invisible pour les yeux

Saturday, November 11, 2006

イノベーションを生むということ - 人類学者と実験者

Apple.comはイノベーションを生んでいる会社だ。
Googleもイノベーションを生んでいる。
Microsoftもイノベーションを生んでいる?た?



イノベーションを生むというのは何?
Amazonでぶらぶらしているときに、おすすめされた「イノベーションの達人」を先日購入した。

この本はデザイン・ファームIDEOを支える人材を10のカテゴリに分けて、イノベーションを起こす会社を作るには、どういったキャラクタ(を演じる。またはもつ。)の人たちが必要か?という疑問に答えてくれている本である。

この本に10個登場する人間のタイプは、向き不向きは誰でもあるにせよ意識することでそのキャラクタになれるということがすばらしい。そして、一人の人間は一つのキャラクタだけではなく、複数のキャラクタを兼ね持つになることになる。つまりイノベーションを起こすチームに求められるキャラクタや人物ではなく、誰でもイノベーションを起こすチームを作ることができるということだ。

人間がすごいところは、誰でも情熱を持ち努力することで世の中に大きな影響を与えるエグゼクティブにもなれるし、次々とイノベーションを起こすこともできることだとあらためて思う。

第一章は人類学者という人達について書かれているが、彼らは人をよく観察しうまくコミュニケーションをとり問題を明らかにする。技術の世界にいると、「無知は悪とみなされたり」・「あるツールを使いこなせないのはその人がバカだから」と見下すような場面によく遭遇する。

でも、本当はそういうところに大きなチャンスが隠れているのに探そうともせず独りよがりになりがちである。この項では、フィールドワークの重要性を再認識した。

第二章の実験者について書かれている。実験者は、多くのプロトタイプを生み出し多くの失敗を経験する。失敗した分だけ実験者としての能力の幅を広げる。好奇心旺盛で情熱を持ち努力を欠かさないのが実験者に求められる能力である。

プロトタイプを数多く作ることの重要性はよく聞く話だが、「プロトタイプの基準を下げる」という言葉にはっとさせられた。プロトタイプを作る際に、みんなが素敵!すげぇ!というのを作りたいがためについつい本来のコンセプトから脱線してこってしまうことがよくある。脱線して本来の線路に戻ってこれればいいのだが、作りこんでいる途中にコンセプトを見失ってしまうことのほうが多い。

プロトタイプに求められるものは、見た目の美しさや使いやすさなどではなく、荒削りでもよいがキラリと光るアイデアである。見る目がある人たちは、そこを見る。ということを常に頭の中に入れておこう。

また失敗を恐れないカルチャーつくりの重要性。あるアイデアに対して、一つではなく複数のプロトタイプがあることがプロトタイプの長所と短所について有意義な議論の話につながる。

たとえ話としてこんな話が書かれていた。
彼女の服を選ぶ際に、もう買ってきた服をきて「この服どう思う?」と聞かれたときには彼の答えは決まっていて、いい or 悪いの二択しか存在しない。ショッピング中に一緒に選んでいて、7つの中から選ぶときに初めて、この服のここがかわいいといったよりよい選択への議論へとつながる。

ビデオによるプロトタイプの有効性ではBMWの話が出てくる。BMW者では世界屈指の映像監督を集めて8分間のショートドラマを作成し、自社のHP上でのみ公開したがあっという間に口コミで広まり頼んでもいないのに新聞にまでのって、リンクURLが書かれたメールが飛び交う自体となったという話である。

Ruby on RailsがJavaの10倍の生産性というデモムービーで世界中のプログラマが飛びついたり、Scrybeのデモビデオが世界中の人達の間で話題になったり、AppleのWinを皮肉るCMについて多くのブロガが言及したりと映像によるプロモーションは大きな力を持つ。Youtubeのようなサービスが出るにつれますますこの流れは加速していく。

映像は、短い時間でサービスのコンセプトを万国共通に伝えられるすばらしいプロモーションである。ケチって出来の悪い物を作ってはいけない。世界中でとりあげられることを考えると安い先行投資である。

と、中田英と一泊23万のバカンスセレブデートが報じられた白雪って子がカワイイとうらやましく思いながらも、第二章まで読んで思った事を忘れないように書き留めた。